[コラム] 相続放棄と生命保険

Q. 2カ月前に父(朝鮮籍)が死亡しました。飲食店を経営していた父にはかなりの負債があり、到底返済できそうにありません。相続人は母と私、そして弟で、自宅もあきらめ相続放棄をするつもりです。母から亡父が1千万円の死亡生命保険に加入していたことを聞きました。生命保険金も放棄しなければならないのでしょうか?

A.生命保険金は基本的には相続放棄の対象にはなりません。なので、負債も含めて亡父の全ての財産を放棄しても保険金を受け取ることはできます。
この事例のように、相続人が相続放棄をした場合については、相続人は相続放棄をしても保険金請求権を失うことはありません。
保険金請求権は相続財産に属さず、保険事故発生時、すなわち死亡時における相続人=受取人の固有財産になると解されているからです。相続放棄は死亡した父の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、「相続放棄の申述」という手続きを行います。申述書は裁判所に備置されています。