[HP] 韓国旅券の取得と家族関係登録簿の整理、生年月日の訂正など

センターには韓国旅券の取得に関する相談も少なくありません。商用などで頻繁に海外に出かける同胞の中には在外国民登録をして韓国旅券の申請を考える人も多いようです。
在日同胞が韓国旅券を取得するには、在外国民登録をして家族関係登録簿(旧戸籍簿)が必要になります。在外国民登録をして「韓国」籍になれば旅券の取得申請ができるわけではなく、自分自身の家族関係登録簿を持たなければなりません。
家族関係登録簿を持つには、在外国民登録をした同胞を対象にした「特例法」に依拠した「家族関係登録簿の整理申請」と「家族関係登録簿の創設許可申請」、「家族関係登録等に関する法律」に依拠した「申告」の3つの方法があります。
各方法について、下記の事例で開設をします。

Q1. 韓国旅券を申請したいのですが、家族関係登録簿の整理ができずに困っています。父母ともに1世で、父は北半部の出身で家族関係登録簿は無く、母は南半部の出身で生まれ故郷の本籍地に家族関係登録簿があります。このような場合、家族関係登録簿の整理の方法はありますか?

A1. 韓国旅券を申請するには、在外国民登録をしていなければなりません。相談者がすでに在外国民登録をしていることを前提に解説します。在外国民のための「特例法」に依拠した『家族関係登録簿の整理申請』という方法があります。
本来であれば、「婚姻」はその当事者が、「出生」はその父母が届出を行うべきものですが、この「特例法」では在外国民登録をした人が申請人となり、自分の父母の婚姻と自分の出生の届出を同時に簡便な方法で行うことができます。なので、相談者が父母の婚姻と自分の出生の届出を駐日韓国総領事館にて行うか、家族関係登録簿のある母の登録基準地またはソウルにある在外国民家族関係登録事務所に直接郵送して行います。
まずは、婚姻の整理についてですが、相談者の父に家族関係登録簿は無くても、母に家族関係登録簿があるのですね。
家族関係登録簿の無いアボジについては、かつてオモニとの婚姻当時、独身であり未婚であった旨の事実を証明する「隣友保証書」(アボジと同世代か年上の2名の同胞を保証人とし、それぞれ署名・実印で押印してもらい、住民票と印鑑証明書を添付。国籍は「朝鮮」でも「韓国」でもよいが、家族関係登録簿のある同胞。)を提出します。
整理申請に必要なのは、日本の市区町村役場での婚姻届受理証明書と、父母の住民票、オモニの家族関係証明書、婚姻関係証明書(いずれも駐日韓国総領事館で交付申請)、そして上記の隣友保証書です。
次に、相談者の出生の整理申請については、相談者の出生届受理証明書、在外国民登録簿謄本、住民票です。
*整理申請の様式や隣友保証書の作成については同胞法律・生活センターにお尋ねください。

Q2. 商用で海外に出かけることが多いので、韓国旅券を取得するつもりで思い切って在外国民登録をして韓国籍に切り替えました。ところが、韓国領事館で「『家族関係登録簿』を整理できない限り、正規の旅券は発行できない」と言われ「臨時旅券」をもらいました。父母は朝鮮籍で、国籍は絶対に変えないと言っています。どうすればよいでしょうか?

A2. Q1で解説したとおり、韓国籍の同胞が、在外国民特例法に依拠して戸籍整理を行う場合、(本来であれば父母自らが行うべき)父母の婚姻と自分自身の出生の申告が可能です。*その場合、父母の在外国民登録簿謄本の添付は求められません。なので、父母は朝鮮籍のままで、あなたの戸籍整理は可能です。*但し、あなたの兄弟姉妹の出生の申告まではできません。
この場合、①父または母に家族関係登録簿があること、②父または母の家族関係登録簿に記載されている名前や生年月日に誤りが無く、③父母の婚姻を証明する婚姻届受理証明書や、婚姻届を提出した事実を証明できる「戸籍簿受付記録」などの証明書が準備でき、かつ、④あなたの出生届受理証明書が準備できるならば、あなたを申請人として駐日韓国総領事館にて整理申請を行うか、家族関係登録簿のある母の登録基準地またはソウルにある在外国民家族関係登録事務所に直接郵送して行います。

家族関係登録簿の訂正…生年月日

Q3. 旅券申請のため「戸籍」を確認したところ、生年月日が間違っていました。訂正したいのですが、どうすればよいでしょうか?

A3. 生年月日の訂正は可能です
日本の外国人登録に記載されている生年月日が正しく、家族関係登録簿に記載されたものが間違いである場合、南の故郷の登録基準地(本籍地)を管轄する裁判所に「家族関係登録簿の訂正申請」を行います。
この申請は訂正の許可を求める審判ですが、最寄りの駐日韓国領事館を窓口にして裁判所に申請するか、あるいは申請人が直接郵送で裁判所に申請することができます。
この手続きで大事なのは、真の生年月日を証明する疎明資料です。申請人の姓名と正しい生年月日が一緒に記載されているものを添付します。例えば、(日本の役所に提出した)出生届記載事項証明書や医師の出産証明が押印された母子手帳、運転免許証、健康保険証、年金手帳、卒業証明書、生命保険などの保険証書などです。
申請の用紙は領事館でももらえますし、また韓国大法院(最高裁判所)のホームページからもダウンロードできます。必要事項と、訂正を求める理由、すなわち何故間違っているのか、どのような不都合があるのかなどを整理して書きます。
上述の疎明資料の他、申請人の在外国民登録簿謄本、外国人登録記載事項証明書を1通ずつが必要です。