児童扶養手当をもらう

 離婚や配偶者の死亡などにより、①ひとり親家庭になった人や、②父または母のどちらかに重度の障害がある場合、または③父または母に養育されないなどの状態にある児童(18 歳に達した最初の3 月31 日まで、また中度以上の障害がある場合は20 歳未満)を扶養している養育者に支給されます。
 ただし、子が父母と一緒に住んでいるときや、子が父または母の再婚相手(事実上の配偶者含む)と住んでいるとき、子が母と一緒に母の実家で祖父母らと生活するような場合は対象になりません。また、父母がすでに別居し、子が一方の親と生活をしている実態があっても、父母の離婚が成立していなければ対象になりません。
 手当は子の数により加算があり、養育者の所得に応じて決定されます。

[ワンポイント] 韓国籍同士の協議離婚

 ソウルの家庭法院による「離婚意思の確認」が必要です。夫婦が一緒に(代理人は不可)駐日韓国総領事館で「離婚案内」を受けた後、離婚意思確認のための陳述書の作成、未成年の子がいる場合は親権者・養育者の決定、養育費の決定や面会交流などについて取り決めた協議書を作成しなければなりません。これらの書類はソウルの家庭法院に送付されます。後日法院から「確認証明書」が送付されると、3 カ月以内に駐日韓国総領事館であらためて「離婚申告」を行います。
 しかし、日本の裁判所で調停や裁判で離婚が成立した場合は、当事者のどちらか一方が、離婚確定の日から1 カ月以内に判決確定証明書や調停調書を添付して、駐日韓国総領事館で「離婚申告」を行います。
 また、夫婦のどちらか一方が日本国籍(もしくはその他の外国籍)の場合は、日本の市区町村役場で離婚届を提出し、その後「離婚届受理証明書」を交付してもらい、本人確認のための必要書類などを添付して「離婚申告」を行うことができます。

[HP] 朝鮮籍夫婦の協議離婚 /家庭裁判所の調停について/養育費について

[ワンポイント] 韓国籍同士の協議離婚

 韓国民法第 840条では、離婚原因に次の 6つを規定しています。
①配偶者の不貞行為、②配偶者による悪意の遺棄、③配偶者またはその直系尊属から著しく不当な待遇を受けた時、④自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けた時、⑤配偶者の生存が3年間明らかでない時、⑥その他婚姻を継続しがたい重大な事由です。
 日本民法の離婚原因と共通点はあるものの、韓国民法では③や④など、配偶者のみならず尊属との関係も重要視するなど、韓国の儒教的な家父長制が色濃く反映された内容になっています。

[ワンポイント] 子の母姓への変更

 朝鮮半島では、古来より「子は父の姓と本(本貫)を受け継ぐ」という父姓承継の原則があり、結婚、養子縁組などによっても姓と本は変わることはありません。
 韓国では 2008年の民法改正により、従来の原則を維持しつつも、下記の2つの場合に、子は母の姓と本を受け継ぐことができるようになっています。①夫婦の婚姻届時に、今後生まれてくる子が父・母いずれの姓と本(本貫)を名乗るかについて申告した場合、②子の福利のため、法院で許可を得た場合です。
 例えば、離婚により母親が子を引き取る場合、法院の許可を得て子の母姓への変更ができます。ソウルの家庭法院では、子の姓変更の許可基準については、①子の養育環境や生活環境、②子の年齢、③子の意思などを考慮して判断するものとしています。
 子の姓の変更に際しては、子の実父あるいは実父の直系尊属の同意が要るなど、煩わしい点もあります。在日同胞の場合、ソウルの家庭法院が管轄裁判所となり、駐日韓国総領事館を通して姓変更の申立てはできません。また、韓国国内での連絡先や法院からの送達先が必要となるため、韓国在住の親戚や弁護士などの協力が必要です。
 ただし、子の父が外国人である場合、子は母の姓と本を受け継ぐことはできます。