同胞が活動する場は、日本国内はもとより海外にまで広がっています。法律、医療・福祉、工業・技術、土木・建築など、多様な分野で国家資格を取得して活躍する人たちが増え、根強い民族蔑視により職業選択の幅が狭められていた一昔前とは隔世の感があります。
日本には、国家試験による資格は公的な各種の検定なども含め約1500 種類以上もあるそうです。受験資格には、司法書士、弁理士、行政書士や宅地建物取引主任のように学歴、職歴、年齢など制限が無いものもあれば、大学、高校、短大などを卒業していなければならないという学歴やその分野での実務経験年数、年齢による制限など、資格により様々な制限があるものがあります。
これらだけでなく、これまで朝鮮学校は「各種学校」との理由からその卒業資格や履修科目が認められず、受験資格が認められなかったものがあります。かつて朝鮮大学校卒業生には、その卒業資格では税理士、社会保険労務士の受験資格が認められず、また保育士試験は一般の短大のように
2 年在学時に「卒業見込み」で受験することができませんでした。しかし、差別の是正を求める同胞の粘り強い運動の結果、税理士は朝大在学時(日本の大学同様一定の要件あり)に、社会保険労務士は卒業生に、保育士は「卒業見込み」の2 年時に受験資格が認められるようになりました。
保健医療や福祉分野では、養成校で所定の科目の履修後に受験資格が認められるものが殆どです。ここでは、その養成校への入学資格が「各種学校」との理由から朝鮮学校卒業生には制限されていたところ、2003 年10 月厚生労働省課長通知「福祉分野における各資格の受験資格等に係る各種学校の入学資格等の取扱いについて」により、入学資格の有無は各養成校の個別審査によるものとされました。その結果、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、
介護福祉士、言語聴覚士など広い分野で資格取得の途が開かれています。
とは言え、資格の種類は多く、受験資格に設けられる要件や制限も様々。朝鮮学校卒業生がチャレンジしたことのない分野もあるはず。センターにも「養成校への入学資格が無い」との相談が寄せられ、はじめてそのような資格を知ることも多いです。卒業資格を理由に受験資格や入学資格が認められないようなことがあれば、すぐにご相談ください。