[HP] 在日同胞の無年金問題とは

国民年金制度が始まったのは1961年4月です。当時は国籍条項があり、長らく在日同胞は国民年金に加入することはできませんでした。
日本政府は1979年に国際人権規約を、続く1981年に難民条約を批准しました。その結果、日本の社会保障制度における国籍条項が撤廃されることになり、在日同胞もようやく国民年金に加入できるようになりました(1981年1月1日から)。
(*国籍条項により在日同胞が国民年金に加入できなかった1961年4月~1981年12月末までの20年9ヶ月は後に「合算対象期間」(カラ期間)として年金受給資格期間に算入できるようになりました。*)
しかし、その時点で①すでに60歳を超えている人と②20歳を超えている障害のある人については、何らの救済措置も講じられないままに年金制度の対象から除外されてしまいました。さらに、その時点で③35歳以上の人も同様に年金制度から除外されたのです。
何故、35歳以上の人が除外されたのか。年金に加入できるのは60歳までで、年金が受給できるためには25年の保険料納付期間が必要だったため、1982年1月1日時点で35歳以上の同胞は、保険料を納付しても60歳までに25年の納付期間を満たすことができず、国民年金に加入して保険料を納付したところでそれが「掛け捨て」になってしまうという問題が生じたからです。
1986年の国民年金法のさらなる改正により「カラ期間」制度が導入されました。それにより25年の納付期間が満たせない人が救済される仕組みができたことで、上述③の35歳以上の同胞にも年金受給の途が開かれることになりました。しかしながら、この1986年の改正時点ですでに60歳を超えている同胞はこのカラ期間を用いても納付期間を満たせず、年金制度から除外されてしまったのです。
国民年金制度が発足して以降、無年金になった日本人(例えば、沖縄、小笠原返還時、中国残留帰国者)にたいしては、それぞれ救済のための福祉年金などの経過措置が講じられたにもかかわらず、上述の在日同胞らにはなんらの救済措置も講じられないまま放置されたままです。同胞の無年金問題にはこのような経緯があります。