南北朝鮮、そして日本のそれぞれの法律においても、官公署に婚姻の届出をすることで、婚姻が成立すると規定しています。日本に暮らす同胞の場合、日本の方式に則って市区町村役場に婚姻届を提出すれば婚姻成立です。婚姻届けの用紙は市区町村役場にあります。
同胞同士の婚姻
夫婦で住民登録をする市区町村役場に婚姻届を提出します。期間の定めはありません。
役場に備置されている「婚姻届」の他、住民票、本人確認書類、南の登録基準地(旧本籍地)に家族関係登録簿(旧戸籍)のある人は、「基本証明書」・「婚姻関係証明書」・「家族関係証明書」を、無い人は、婚姻要件を具備している旨の「申述書」(P.11)を作成して提出します。2012年7月に外国人登録制度が廃止されて以降、上記の書類の他、当事者の身分確認書類をあれこれと求める自治体があるようです。納得がいかない場合はすぐに同胞法律・生活センターまでご連絡ください。
同胞と日本人の婚姻
同胞は上記の書類を、日本人は戸籍謄本を準備します。住民登録をする市区町村役場、あるいは日本人の本籍地のある役場に提出します。
韓国同胞やその他の外国籍の人との婚姻
相手の本国への届出も必要になるでしょう。日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後、「婚姻届受理証明書」を発行してもらい、相手の在日公館にて婚姻手続きをします。その場合、国によって必要な書類が異なりますので、事前に確認しておくのがよいでしょう。
[ワンポイント] 各国の婚姻可能年齢
南北朝鮮そして日本のそれぞれの法律で規定する婚姻年齢は次のとおりです。
[ワンポイント] 同姓同本同士の婚姻
朝鮮半島では本貫を同じとする「同姓同本同士の婚姻」は近親間の婚姻にあたるとみなしてきました。諸外国においても法律で近親者間の婚姻を禁止しており、日本民法では「直系血族又は 3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。……」と規定しています。
朝鮮民主主義人民共和国法では「8親等までの血族と 4親等までの姻戚間」、韓国法では「8親等以内の血族と姻戚」の婚姻を制限しています。
韓国ではこの制限に加えて、さらに「同姓同本同士の婚姻」を禁止していたため、結婚相手の制限の範囲はとても広いものでした。
韓国では、1997年に憲法裁判所が個人の尊厳と両性の平等などの憲法原理に違反するということで憲法不合致決定を出して以降、「同姓同本同士の婚姻」は認められるようになり、民法上の規定も削除されました。ちなみに、共和国では解放後に本貫制度そのものが廃止されています。
[HP] 本貫とは
[ワンポイント]同胞男性と結婚した日本人妻の「氏」の変更
朝鮮半島では結婚による姓の変更はありません。日本では、婚姻届の際に、夫婦どちらの氏を称するかを決めなければならず、夫婦同一氏が原則です。そのため、同胞と結婚をした日本人妻の中には夫の朝鮮姓を名乗りたいと思う人もいるでしょう。
婚姻届を提出して 6カ月以内であれば、市区町村役場で「氏の変更」の届出をすれば夫の姓に変更することができます。6カ月を経過している場合は、家庭裁判所で「氏変更の申立」をします。
氏の変更後、夫婦に子が生まれた場合、子は出生届の提出により、日本人の母の戸籍に記載されるので、母と同じ、すなわち父の朝鮮姓となります。