[コラム] 韓国における姓と本貫あれこれ

 韓国では就労や結婚等で入国し定住する外国人の数が増えています。ここ数年来、「帰化」をして韓国国籍を取得する人たちの数は年間1 万1 千人前後となっています。
 韓国では、居住年数や朝鮮語能力をはじめ所定の要件を満たした人が「帰化申請」を行い、法務部長官により「帰化」が許可されると、その当事者が定めた登録基準地(旧本籍地)にその人の家族関係登録簿(旧戸籍)が作成されます。その時、家族関係登録簿には、「帰化」申請時の姓名が記載されます。すなわち「帰化前」の(外国式の)姓名をそのまま名乗ることができます。例えば、バラク・オバマとかドナルド・トランプのままでよいのです。
そのため、「金」(.)や「李」( . ) などとは異なり、ハングルの文字数が10 を超える長い姓もあるとのことです。
 「帰化」をして韓国国籍を取得する人の増加に伴い、韓国における姓の数も増加の一途をたどっており、2000 年の人口住宅調査(韓国・統計庁が15 年ごとに実施)時には、わずか283 個だった姓が、2015 年にはなんと5582 個に増えているとのことです。
 他方、「帰化」して韓国国籍になった人は、法院(裁判所)の許可を得て、新しく姓と本貫を創設することができます(家族関係登録等に関する法律第96 条)。
 韓国・大法院が発行する統計月報によると、2016 年の(「帰化」者による) 姓と本貫の創設許可申請件数は6750 件です(2015 年は6694 件)。 姓は、金・李・朴・崔など、朝鮮ならではのものにするものの、本貫については、自分の祖国に由来するものを登録する例も多いそうです。
 例えば、モンゴル・金氏、タイ・太氏、独逸・李氏など、です。様々な文化と背景を持つ人が増加しているのですから、姓名も多様化するのは当然のこと。しかし、金海・金氏、蜜陽・朴氏などが「当たり前」と思ってきた私たちにとっては、ちょっと驚きですね。