[HP] 在外国民2世/韓国籍男子に兵役義務?

事例で解説します。

Q.1  21歳の韓国籍の特別永住者・男子です。この夏休みにゼミ研修でカナダに行くため、韓国旅券の申請したところ、領事館の窓口で「在外国民2世の手続きをするよう」言われました。『在外国民2世』とは、何のための、どのような手続きですか?

A. 1  韓国では、「兵役法」に基づき、韓国国籍を有する男子について、兵役義務を課しています。また、兵役未了者に対しては、25歳以降は兵務庁から国外旅行許可を得なければ海外渡航・滞在が認められず、旅券の発給を受けることもできません。そして、この「兵役法」は、韓国国外に居住している韓国国籍者に対しても適用されますので、日本に居住する特別永住者であっても適用を免れることはできません。
もっとも、①韓国国外で出生した者で、②17歳まで本人と父母が継続して国外で居住し(なお、年間で「通算90日」を超えて韓国国内に滞在したことがある場合には、「継続して国外で居住」していたとは認められません。)、③外国政府から国籍・市民権・永住権等を取得した『在外国民2世』については、『在外国民2世』であることの確認さえ受ければ、別途の手続なく、自動的に国外旅行許可を受けたことになり、旅券の発給も受けることができます。
なお、『在外国民2世』の確認手続は、永住資格を証明する書類(特別永住者証明書等)、旅券、家族関係証明書を持参すれば、領事館で行うことができます。また、『在外国民2世』の確認を受けると、旅券に『出国確認除外対象(在外国民2世)』というスタンプを押され、兵役に関する出国確認手続(韓国からの出国)から除外されることが明確にされます。
相談者の場合、まだ21歳ということですので、理論的には国外旅行許可を得なくても旅券の発給を受けることのできる年齢ではありますが、手続をしないまま25歳になってしまった後、韓国に入国した場合、出国が認められなくなる恐れ等もありますので、旅券発給と同時に領事館で在外国民2世であることの確認を受ける手続を行うよう促されているようです。今後、煩雑な兵役関係の手続に巻き込まれないようにするためにも、旅券発給と同時に手続きをしておくことが望ましいと言えます。
*在外国民2世の確認手続きの際、必要な書類は次のとおりです。
・在外国民2世確認申請書(駐日韓国総領事館にあります)
・本人の家族関係証明書、基本証明書(駐日韓国総領事館で申請します)
・本人とその父母を含む世帯の住民票(在留資格が記入されたもの)または本人、父母、それぞれの特別永住者証明書のコピー
・本人の旅券のコピー

Q.2 「韓国籍の男子にも兵役義務が課されるようになった・・・」とか聞いたのですが?

A.2 韓国では「国民皆兵主義」にもとづき徴兵制度があります。男性は18歳から37歳までの間に兵役義務を果たさなければならないことになっています。

特別永住者の資格を持ち日本で暮らす在日同胞の場合、兵役法の「在外国民2世」(*外国で出生した者で、17歳になるまで続けて外国に居住し、父母と本人が外国の永住権、国籍あるいは市民権を取得し、在外国民2世であることの承認を受けた者)という制度により、事実上は免除されてきました(ただし、韓国に永住帰国申告をした場合に限り、兵役義務が賦課)。
ところが、2012年から施行されている改正兵役法によると、1994年以降の生まれの男性については、18歳以降、韓国での滞在期間が通算して3年を超える場合、兵役義務が生じる可能性があります。
改正法によると、18歳から通算3年を超えて韓国国内に滞在した場合は「在外国民2世」とは認められず、「在外国民2世」の資格を喪失し、長期滞在(1年のうち半年以上、但し、韓国国内の大学や語学学校での修学・留学期間は除外)および営利活動をした場合も「在外国民2世」の資格を喪失し、兵役義務が課せられることになります。
もっぱら韓国に拠点をおいて活動する若い世代も増えていますが、長期滞在をする場合は、事前に十分情報を得ておくことをおすすめします。