[HP] 韓国籍から朝鮮籍に変更はできるの?

Q かつて朝鮮籍でした。10年ほど前、父の事業の都合があり、家族全員で在外国民登録をして「韓国籍」に変更しました。しかし、成人していろいろ考えることがあり、やはり「朝鮮籍」に戻したいです。可能でしょうか?

A 結論から言うと、「朝鮮籍」に戻すことはできません。

 かつての外国人登録証や特別永住者証明書上の国籍・地域欄の表示はその人の国籍をさすものではありません。

 国籍の取得や喪失は、その人が属する国の法に依拠して定められるのが国際法上の原則です。そのため、在日同胞の国籍は日本のかつての外国人登録法や、現在の特別永住者証明書等の記載によって決められるものでなく、そこにある記載が国籍を証明するものではありません。在日同胞の場合、祖国が分断国家であり、南北朝鮮いずれの国籍法によって公(国)民と規定されるため、私たちがいずれの国籍を所持するかは、本国政府が発行する国籍証明書や旅券等によって決められるべきなのです。

 しかしながら、かつて日本政府が1965年韓日条約の締結に際して発表した見解では、「韓国籍」を国籍と見なす一方で、「朝鮮籍」は朝鮮半島の地域を示す「符号」に過ぎないとしてきました。さらには、「韓国籍」から「朝鮮籍」への書き換えをすることはできないとしました。このような共和国政府への敵対的な見解は、日本全国の当事者からの激しい抗議により、変更を迫られることになりました。

 そこで日本政府は、出生の時より「①大韓民国の在外国民登録をしていないこと、②韓国旅券の交付を受けたことがないこと、③協定永住許可を受けていないこと」の3つの要件を満たしている場合に限り、「韓国籍」から「朝鮮籍」の書き換えを認めることとし、現在にいたっています。

 この相談者の場合、父母らとともに韓国籍に切り替えた際に①の在外国民登録をしているため、これらの要件をすべて満たさないため、戻すことをできません。なお、出生時に子がこの3つの要件を満たしていたとしても、子の国籍の前提となる父母(*韓国国籍法が父系血統主義を問っていた1998613日以前は父、父母両系血統主義となった1998614日以降は父もしくは母)が①~③のいずれかに該当する場合も「朝鮮籍」にもどすことはできません。