朝鮮学校と国家資格取得

朝鮮学校の大学・大学院受験資格問題の前進は、国家資格取得問題にも同様の成果をもたらすことになりました。2004年10月、法務省はそれまでは認めなかった司法試験(現行の新司法試験ではない)の一次試験免除を朝大卒業生に認定します。同年12月には、東京都が正式に朝大の在学生にも保育士の受験資格を認めました。2005年1月には社会保険労務士の受験資格が朝大卒業生に認められ、同年5月には朝大生も日本の大学生と同様、日商簿記一級等の資格取得に関係なくダイレクトに税理士試験が受験できることとなりました。さらに翌年には不動産鑑定士と公認会計士の受験資格の要件自体がなくなることにより、朝大と日本の大学の学生間の差異はなくなりました。
朝鮮高級学校卒業生についても大学受験資格問題の前進が波及し、看護学校や鍼灸学校、社会福祉士、歯科技工士、柔道整復師等になるための専門学校への入学資格も弾力化されました。ただ、大学入学資格と同様、これらの専門学校への入学資格については最終的にはその学校の判断に委ねられることとなったため、未だ認めていない学校が存在しないわけではありません。

[ワンポイント] 認定こども園の保育教諭はダメ!?

幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の職員については、「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・資格を有するというのが原則となっており、国は、両方の資格を取得しやすくなる制度を整備しました (2015年4月から5年間の特例期間)。この制度においては取得要件の一つに、所定の科目を大学で受講する必要がありますが、ある朝鮮学校卒業生が地元の自治体に確認したところ、朝鮮学校高級部の卒業資格ではこの制度を利用できないと言われた事例もありました。
実際には、大学受験資格と同様で、所定の科目を受講する大学の個別審査を通過すれば、制度を利用できるにも関わらずです。自治体職員の認識不足が原因かと思われますが、同様のケースに遭遇した場合は、あきらめずにセンターまでご一報を!