生活に困ったら…生活保護

生活保護は、生活に困窮している人に対して、最低限度の生活を保障しようという制度です。申請には、資産の活用・能力の活用・その他の制度活用などの要件を満たす必要があります。自分の預貯金や生命保険、土地・家などの不動産、車などの財産を処分し、さらにあらゆる努力をしてもなお生活が困窮する時に利用ができるというものです。同胞も申請はできます。また外国籍でも「定住者」や「日本人あるいは永住者の配偶者等」の在留資格であれば申請ができます。
生活保護には、生活扶助、住宅扶助、医療扶助など8種類の扶助があり、その人または世帯の困窮程度に応じて必要な保護がお金や現物で支給されます。困窮に陥った理由や借金の内容などは問われません。なので、借金があっても生活保護の申請はできます。福祉事務所では、申請の時点で借金があると「では、申請は無理ですね」と断られることがありますが、「保護が決まってから法律家を通して借金の整理をします」との旨をきちんと伝えてください。

[ワンポイント] 海外渡航と生活保護

生活保護を受給中だからと言って、海外渡航が禁止されているわけではありません。「帰国」ではなく、一時的に海外へ渡航した場合であって、引き続き日本国内に居住の場所を有している場合、海外に出かけたという事実のみを持って生活保護を廃止することはできません。
次の①~③の目的で、概ね2週間以内の期間で海外渡航をする場合には、保護費をやり繰りして貯めたお金や、あるいは親族などの他からの援助で費用を賄って渡航する場合には、(渡航に係る費用全額を収入認定せずに)その渡航を認めています。
①親族の冠婚葬祭、危篤の場合および墓参
②修学旅行
③公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る)
ただし、事前に福祉事務所の担当者には渡航の目的、日程などを伝えてください。上記3つの目的以外で海外に渡航する場合、例えば観光、通常の親族訪問、一時的な里帰りなどの場合は、渡航に係る費用は「収入があったもの」とみなされ、後で保護費の減額や返還を求められることがありますので、注意が必要です。

[ワンポイント] 住宅ローンと生活保護

生活保護は最低限の生活を保障するためのものであり、ローン付きであっても持ち家は資産とみなされるので、原則、処分をする必要があります。ただし、例外があります。
1つは、住宅ローンがあっても、その返済期間が残り5年以内で、残っているローンの総額が300万円以下で、月々の返済額が生活扶助の基準額の15%以下である場合です。すなわち、返済額が少なく、あと一息でローンが完済するような場合です。
2つは、すでに持ち家を売却する予定で、残るローンなどの負債につき破産の手続きを弁護士に依頼しており、ローン返済を停止している場合です。すなわち持ち家を手放すことにした場合です。

[HP] 朝鮮学校の就学と生活保護

[HP] 保険・互助会の加入と生活保護