生活保護の申請要件の1つに、「利用し得る資産、能力その他あらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用すること」というものがあります。
そのため処分価値が高いものや、貯蓄性のある保険などは、売却や解約をしてその収益や返戻金を生活維持のために活用しなければなりません。
ただし、処分価値よりも利用価値の方が高いような場合や、保険解約時の返戻金の額によってはそのまま(解約せず)保有が認められることがあります。
保険の場合、貯蓄性の高い養老保険や住宅積立保険などは解約を求められますが、返戻金が少額であり、保険料が居住地の一般世帯と比較して平均的な金額であれば、直ちに解約を求められることはありません。保険の種類も様々様ですが、保険事故が発生した場合、その利益(保険金の支払い)がその世帯に帰属するものは保有が認められます。
解約時の返戻金の金額については、30万円または最低生活費(介護扶助、医療扶助をのぞく)の3か月分程度ならば解約する必要はありません。
では、互助会はどうでしょうか?
保険の場合と同様に解約時の返戻金が30万円以下であれば引き続き保有が認められます。
ただし、生活保護を受給中に保険や互助会を解約して返戻金を受け取った場合は、保護費の返還の対象になりますので、注意が必要です。詳細はセンター事務局までご相談ください。
こんな事例を紹介します。
生活保護と学資保険
Q. 離婚をして中2の娘と二人暮らしです。これまで契約社員として働き何とか生活のやり繰りをしてきましたが、過労から身体をこわしてしまい生活保護を申請することにしました。
実家の母が私の娘のために長らく学資保険に加入してくれています。生活保護の申請に際し、母がかけてくれている学資保険も解約しなければならないのでしょうか?
A. いいえ、解約する必要はありません。この質問のように祖父母などの別世帯の者が生活保護を受給している、あるいはこれから申請をする世帯の子を被保険者とする学資保険に加入している場合、これはその生活保護受給世帯の資産には当たりません。なので、解約する必要はありません。
しかし、その学資保険が満期となり保険金が当該世帯にたいして生活費として仕送りされたような場合は、「収入」として福祉事務所に申告する必要があります。但し、そのような仕送りのうち「教育費」に充てられる金額については「収入」から除外することができます。事前に、センターあるいは福祉事務所に相談するのがよいでしょう。
ちなみに、生活保護受給中の世帯にたいして、別世帯の者が「学費のために」というように限定された援助については、保護世帯の自立につながるという観点から「収入」からは除外されます。